Vol.2 ビジネスシーンでの言葉づかい

日頃、職場で口にしている言葉は正しい敬語ですか？
意外と謙譲語と丁寧語を間違って覚えているケースはよくあるので、「今さら」と思わずに基本的な敬語をセルフチェックしましょう。
プライベートとビジネスシーンでの言葉の使い分けができるとスマートな印象を与えます。

• 敬語の使い方

  敬語=三種類の使い分け

  相手に対して尊敬の意を表す「尊敬語」は、相手を自分よりも上の立場におくことが基本なので「相手」が主語になります。それとは逆に自分の立場を下げ、へりくだることで相手をたてるのが「謙譲語」。
  主語は「自分」になります。丁寧語は「お」「御」などを使って相手に失礼のない丁寧な表現にするのですが、過剰となる「二重敬語」には注意です。

  基本の基本

  自分のことは「わたくし」「わたくしども」、自社は「弊社」「当社」と言い、相手に対しては「○○さま」「御社」と言うようにしましょう。「おたくの会社」などと言わないように。
  社外の人に対して自社の人間に役職や「さん」をつけないのはもちろん、敬語は使わないことが基本です。「○○さんはいらっしゃいますか？」と聞かれて、つられて「あいにく○○さんはいらっしゃいません」などと言わないように。

  	丁寧語	尊敬語	謙譲語
  行く	行きます	いらっしゃる、おいでになる	うかがう、まいる
  来る	来ます	おこしになる、おいでになる、 いらっしゃる、お見えになる	うかがう、まいる
  食べる	食べます	召し上がる、お食べになる	いただく、頂戴する
  言う	言います	おっしゃる	申します、申し上げます
  聞く	聞きます	お聞きになる	お聞きする、うけたまわる、 拝聴する
  見る	見ます	ご覧になる	拝見する
  する	します	される、なさる	させていただく、いたす
  与える	あげます	たまわる	差し上げる

  二重敬語に注意

  丁寧も過ぎると逆効果、敬語を二重に使うのはNGです。意外と多い間違いなので注意しましょう。

  誤	社長さま	→	正	社長、社長の○○さま
  誤	お召し上がりになる	→	正	召し上がる、お食べになる
  誤	お越しになられる	→	正	お越しになる、いらっしゃる
  誤	拝見させていただく	→	正	拝見する

• 好ましい言葉づかい

  01.お礼を言うとき

  ビジネスシーンでは「ありがとうございます。」「恐れいります。」が正解。
  「すみません。」は適していません。

  02.お願いをするとき

  「恐れ入りますが～をしていただけないでしょうか？」「恐縮ですが～をお願いできないでしょうか？」が妥当です。ここでも「すいませんけど～」などと言わないように。

  03.おわびをするとき

  「大変申し訳ございません。」「失礼いたしました。」が丁寧です。「すみませんでした。」は、かなりくだけた言い方です。

  04.了解するとき

  「承知いたしました。」「かしこまりました。」が決まり文句です。「わかりました。」は避けましょう。

  05.断るとき

  「申し訳ございませんが、～いたしかねます。」「私の一存では決めかねますので、上司と相談いたしまして」など、やんわりと断るように心がけましょう。「できません。」「わかりません。」と断言しないように。

  06.判断がつかないとき

  「わかりかねますが」と言って相手の様子をうかがったり、「少々お時間をいただけますでしょうか」といって調べに行くなど、臨機応変に。「わかりません。」と断言して終わらないように、相手が納得するまで対応を続けましょう。

  良くある間違い

  「とんでもございません」はよく使われていますが、正しくは「とんでもないです」。「とんでもない」で一語なので、「ない」だけを変えることは文法的に間違っています。

  「○○さまでございますか」の「ございます」は謙譲語なので相手に対しては使えません。正しくは「○○さまでいらっしゃいますか」になります。

  丁寧に言おうと思ってやたらと「～のほう」を連発していませんか？「その書類のほうを当社の受付のほうまで～」と言ってもあいまいなだけです。ここは普通に「その書類を当社の受付まで～」と言いましょう。